カップル(夫婦)カウンセリングとは、一言で言うならば「2人の間で何が起きているのかを一緒に整理し、これからどうしていくかを考える場」でしょうか。
特に、夫婦・恋人同士では、問題が大きくなるほど「相手を変えたい」「相手に自分の気持ちをわかってほしい」という状態になりやすいので、そこから少し距離を取って、2人の関係そのものを見ることが大切だと考えます。
1.そもそも「カップルカウンセリング」って何?
カップルカウンセリングは、夫婦や恋人など、2人の関係で起きている問題について、カウンセラーを交えて話し合うものです。
例えば、
- 最近、会話をするとすぐ喧嘩になる
- 相手に何を言ってもわかってもらえない
- 夫婦の会話がほとんどなくなった
- 子どもの育て方について意見が合わない
- 家事・育児の負担に不満がある
- お金の使い方について揉める
- 性生活について悩んでいる
- 相手の言葉や態度に傷ついている
- 浮気・不倫があった
- 一緒にいるのが苦しいけれど、別れるかどうか決められない
- 別れたくはないが、このままの関係を続けるのもしんどい
といった悩みが対象になります。
大切なのは、「問題が深刻になってから行くもの」ではないということです。
「最近ちょっと会話が減った」「このままだと関係が悪くなりそう」という段階でも利用できます。
2.カップルカウンセリングでは何をするの?
初めての方は、「2人でカウンセラーの前で喧嘩するのでは?」と思うかもしれません。
実際には、そうならないようにカウンセラーが間に入りながら進めます。
① まず、それぞれの話を聞く
最初から「どちらが正しいか」を判断することはしません。
例えば、
夫:「妻に何を言っても責められてしまうんです」
妻:「夫が何も話してくれないから、こちらが言わざるを得ないんです」
というように、同じ出来事でも2人の見え方は違います。
そこで、
「何が起きているのか」
「それぞれが何を感じているのか」
「何に困っているのか」
を整理します。
② 「問題」ではなく「問題が起きるパターン」を見る
カップルの問題では、どちらかが悪いという単純な話になっていないことがよくあります。
例えば、
男性が黙る→女性が「なんで何も言わないの?」と問い詰める→男性がさらに黙る→女性がもっと起こる→男性がその場から離れる
という循環ができているとします。この場合、どちらかが悪いというよりも、
「2人の間で、この循環が起きている」
と考えた方が、関係を変えていくためには役立ちます。
3.カウンセリングで大切なのは「感情」の部分
カップル/夫婦の喧嘩では、表面上は
「家事をやってくれない」
「スマホばかり見ている」
「子どものことを考えてくれない」
などの話をしています。
しかし、その奥には、
「自分は大切にされていない気がする」
「一人で頑張っているように感じる」
「自分のことを理解してほしい」
「見捨てられるのが怖い」
「本当はもっと仲良くしたい」
といった気持ちが隠れていることがあります。そのため、カップルカウンセリングでは、「何が起きたか」だけでなく、「そのとき何を感じていたのか」を丁寧に扱います。
4.「相手を変える」のではなく、「2人の関係を変える」
例えば、「夫にもっと家事に協力的にしてほしい」という相談があったとします。
もちろん、具体的な行動を変えることは大切です。しかし、「夫が家事をするようになれば全部解決する」とは限りません。
なぜならその背景に、
「私ばかり頑張っている」
「私の大変さを理解してもらえない」
「私のことを大切にしてくれていない」
という気持ちがあるかもしれないからです。
そのため、相手を変えることだけを目標にするのではなく、2人の関係の中で何が起きているのかを理解することを目指します。
5.実際にはどのように進めるの?
最初に、「今日は何について話したいですか?」と、それぞれから話を聞きます。
次に、問題が起きた経緯や、現在の状況を整理します。
- いつ頃から問題が起きたのか
- 何がきっかけだったのか
- どんな場面で喧嘩になるのか
- そのとき、それぞれはどう反応するのか
- 以前はどうだったのか など
そして、「2人の間でどんな循環が起きているのか」を一緒に見ていきます。
例えば、
不安になる
→ 相手を問い詰める
→ 相手が距離を取る
→ さらに不安になる
→ もっと問い詰める
というパターンなどです。このパターンに気づくだけでも、
「相手がわざと私を無視している」ではなく、
「私が不安になると追いかけるようになり、相手はそれを責められていると感じて逃げるようになるのかもしれない」という見方ができるようになります。
6.カップルカウンセリングでは「すぐ仲直り」しなくてもいい
カウンセリングを受けたからといって、「次の日から仲良し夫婦になる」必要はありません。
むしろ、「今、自分は相手に何を感じているのか」「本当はどうしてほしいのか」「自分はこの関係をどうしたいのか」を整理することから始まる場合もあります。
場合によっては、「関係を修復するのか」「距離を取るのか」「別れるのか」を考えること自体がテーマになることもあります。
カウンセラーが「別れた方がいい」「絶対に続けるべき」と決めるのではなく、本人たちが自分たちの答えを考えられるように支援することが基本となります。
7.場合によっては「2人一緒」だけではありません
最初に2人で話す→その後、それぞれ個別に話す→再び2人で話す という方法もあります。
特に、どちらかが非常に話しにくそうにしている場合や、関係について一人で整理したい場合には、個別の時間を設けることもあります。ただし、個別相談で話された内容を、相手にどこまで共有するのかについては、最初にルールを確認しておくことが重要です。
①「相手を説得する場所」ではない/カウンセラーは裁判官ではありません。
② カウンセラーが「どちらかの味方」にならないこと
「誰が悪いのか」より「何が起きているのか」を見ることが重要です。
③ 暴力・脅迫などがある場合は別の対応が必要
暴力とは、身体的暴力だけでなく、
- 暴力をほのめかす
- 強い脅迫がある
- 相手が怖くて自由に話せない
- お金を極端に制限されている
- 行動を監視されている
- 性的な行為を強要される
などの場合、単純な「2人のコミュニケーションの問題」として扱うことは危険です。
このような場合には、安全の確保を最優先にして、カップルカウンセリングそのものが適切かどうかを慎重に判断する必要があります。
8.一番伝えたいこと
カップルの問題は、どちらか一人の「性格が悪い」「コミュニケーション能力が低い」という話だけではありません。
多くの場合、「2人の間に繰り返されているパターン」があります。
そのパターンに気づくことが、関係を変える最初の一歩になります。
カップルカウンセリングでは、「2人の間で何が起きているのだろう?」という視点から、一緒に整理していきます。
「相手に変わってほしい」と思うときほど、実はその奥に「本当はこういう関係になりたい」という願いが隠れていることがあります。その願いを一緒に見つけ共有することが、カップルカウンセリングの大切な役割です。
