東洋医学と心理学の関係

東洋医学では、身体を統一体と考えるため、精神の動きも身体の動きも連続体として考えます。

精神活動については、五神(魂・神・意・魄・志)と呼び、それぞれの五行学説(組織・器官、生体現象の相互関係を表す)の性質である、木(肝)・火(心)・土(脾)・金(肺)・水(腎)のそれぞれに分けられ、役割を担っていると考えられています。

「神」というのは生命活動の総評ですが、狭義では精神・意識、思推活動を刺し、「心に属する神」は神志とも呼ばれ、生命活動や他の「神」(魂・意・魄・志)を主導しています。

神:全体の統率・制御役。血の滋養不足により失調しやすい。

魂:評価・判断などの精神活動に関係。「気」の巡りの調節を行い、気持ちの調節を担っている。

意:思考・推測・注意力・記憶などの先進活動を担っている。体内の「気」や「血」などの生理物質による脳の滋養が要のため、栄養物質を取りこむための機能失調が起こると影響を受ける。

魄:感覚・運動・情志(見る、聞く、嗅ぐ、感じる)などの感覚的な機能を担っている。「気」の生成や巡りと密接な関係がある。

志:記憶の維持、経験の蓄積などを担っている。脳が滋養が重要で、不足すると物忘れが激しい、飽きやすいなどの症状が出てくる。

このように、精神活動も身体の相互作用によって起こるという考え方があり、その結果、精神活動の弱まりについても漢方や鍼灸でのアプローチが可能であるという立場を取ります。

他方、心理学をベースとしたカウンセリングでは、精神活動の1つ1つ(思考・推測・記憶・感覚・評価・判断など)について意識し、その中での得意不得意やとらえ方を、自ら読み解いていくという作業を行います。また、個人の体験や特性からくる考え方、判断の仕方というメタ認知を意識し、客観的に精神活動を認識・分析するよう働きかけていきます。精神活動に関してはより深い視点でのアプローチを行います。

その2つがかけ合わさると…
精神活動を含めた身体の異変に対して鍼灸等を用いて変容を促すことで身体が実際に楽になります。その楽になった状態で、カウンセリングによって現状のとらえ方や気持ちの有りようを整理することができるため、余裕ができることで、思い詰めていたことに対して違う視点を持てたり、考え方の広がりを実感できます。

身体が凝りや疲れでガチガチになり、常にカッカして頭に血が上っていたり、頭がズンと重くていつも何かが肩にのっているような感じがある時に何かを考えても、客観的で冷静な見方はできないものです。まずは身体の中の不調に対してアプローチし、より普段の健康な状態で状況を見直してみるだけで、見え方や考え方が変わってくることは多々あります。

元々備わっている力を発揮できるよう身体の状態にアプローチし、いい状態でじっくり自分の心に向き合う。

自分を大事にする方法を一緒に考えていきましょう。

図:編 公益社団法人 東洋療法学校協会『新版東洋医学概論』第一版、医道の日本社

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